安月給で過酷、っていうのが美容師の常識だったんだけど、自分が独立したらその常識は変えたいと思ってた。
最初に面接した東京の美容院で不合格のあと、合格したのはどういうお店だったんですか?
銀座の近くにある けっこう有名な美容院。
カリスマのような、テレビにも出ている先生のいる美容院でした。
でもね、生まれ育った地元への執着があって、やめちゃった。
生まれ育ったのは、豊田ですか?
そう。
今、店がある豊田の若林。
で、豊田市内の美容院に再就職して9年働いて・・・
9年続く、というのは、すごく学ぶべきところの多い職場だったんですね。
そうだね。
けっこう大きな美容院で、いろんなタイプの上司がいたから、それぞれのいいところを見て学ばせてもらいました。
9年間無遅刻無欠席。
すごいですね!
すごいでしょ?
どんだけ熱が出ようが絶対休まなかった。
だけど、9年目に入って独立する直前に、インフルエンザになって、自分は行く気あったけど、みんなに移してはいけないということで、休まざるをえなかった。
9年間無遅刻無欠席でがんばってきたから、たとえインフルエンザでやむをえないと言っても悔しかったな~。
自分に厳しいですね~。
働くのが当たり前だから、厳しいとは思ってないけど、そうやって働いてきて独立する自信がついたかな。
最初から9年後に独立するって決めてたんでしょうか。
そうだね。
9年働くと組合から国金(国民生活金融公庫)に推薦されて、創業資金を借りやすくなるので、目安にはしてました。
独立して三好のテナントに店を出しました。
なぜ三好だったんですか?
自分が通ってた高校が三好で、その頃から三好に店出そうと思ってから。
何となく町が好きだったんだよね。
あとは、独立前に働いていたところとあんまり近いと申し訳ないなという気持ちもあって。
当時、住まいがそのテナントの上のマンションでしたよね?
そう。
最初は豊田の実家から通ってたんだけど、できちゃったので。
できちゃった?
何がですか?
できちゃったから、結婚して、店の上に住むことにしたの(笑)。
あ~、その「できちゃった」ですか(笑)。
創業して何年目にできちゃったんですか?
1年過ぎたぐらい。
スタッフの休憩部屋にしていたので、申し訳なかったんだけど、いつかまたスタッフがくつろげる場所のある店を作ろうと決心して、自分たちの住まいにしました。
スタッフさんは、最初から何人かいらっしゃったんですか?
うん。僕入れて3人。
ひとりは前勤めてた店の社長の娘さん。
社長が、ぜひ使ってやってくれって。
勉強のためにうちにきました。
もうひとりは、前勤めてた店の後輩の友達。
紹介してもらって。
だからね、勤めてた店の縁には感謝。
で、最初の1年くらいはスタッフの給料は僕よりよかったし、よその美容院よりよかったと思う。
さすがですね。
安月給で過酷、っていうのが美容師の常識だったんだけど、自分が独立したらその常識は変えたいと思ってた。
安いのが常識、というのは、常識はどのくらいだったんでしょう?
僕が働いていたところはよかったんだけど、同業の友達の話で、高卒後に専門卒で10万円に満たないところもあったよ。
東京で働いてるときの友達で月給3万、って子もいたよ。
朝7時から夜12時まで働いて。
休みは月1日だけ。
なぜみなさんそこまで頑張れるんでしょうか?
いつか独立できる、という夢があるからなんでしょうか?
それは大きいだろうね。
修行させてもらっているという意識かな。
でもね、キツすぎて離職率が激しい業界なんだよね。
そうなんですか・・・。
それで、オーナーである内藤さんが給料なしでも払いたいと思ったんですね。
そう。
次回に続きます!!